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シン・ゴジラを元・生物系アカデミック志望者の観点から語ってみる

(※本記事は盛大にネタバレしています)


今日、仕事終わりに12年ぶりの東宝ゴジラシリーズ最新作「シン・ゴジラ」を見てきました。
元々、制作発表時から見に行くつもりでしたが、色々とタイミングが合わず、公開開始から1か月近くたってから見ることとなってしまいました。
このブログでは多分言ってませんが、僕は結構な特撮好き(そもそもこのブログ、現在8年目。当時は既に怪獣映画は全く作られてませんでしたし…)。
そんなこんなで見てきました。
まず第一声の感想としては、期待以上の面白さでした。
実は、本編に登場するゴジラはオールCGと聞いたとき、時代の流れとはいえ、特撮は着ぐるみ撮影に限るやろと思っていたのもあり、あまり期待してはいなかったのですが、世間様の反応と同じく、とても面白い映画でした。
感じとしては…
歴代作品で言えば、初代「ゴジラ」、他社配給作品で言えば「ガメラ3 邪神<イリス>覚醒」に近い、気味の悪さ、ハラハラ感を感じる作品。
ただ、この「シン・ゴジラ」の気味の悪さはどちらかというと、「ガメラ3」のイリス幼体に近い、「得体の知れない」、「薄気味悪い」という、怪獣造形そのものに対する気味の悪さが近いかもしれません。

本作品はゴジラ以外のものは極力現実に近いものを突き詰める事をコンセプトにしているらしく、実際、作中使用兵器のほぼ全てが現実に配備されているもの、登場する企業も現実に存在する企業という徹底ぶり。
僕の会社の取引先も何社か出てましたよ(笑)

さて、その中で今回描かれたゴジラは、なんと東宝ゴジラシリーズ29作目にして初めて、1954年のゴジラ東京襲撃が無かった世界。そもそものゴジラという概念自体がリセット可能(と言っても、超大作のシリーズものなので、ある程度踏襲せねばなりませんが)となった作品ということもあり、既存作品とは一線を画すデザイン・設定となっています。
そしてなんというか…
今までとは全く違うゴジラを見るということで考えてしまうのが以下の事。
かつて生物系の研究をしていた人間として、作中で「完全生物」と称されるゴジラを研究者視点で見てしまう。
そこで今回は趣向を凝らして、最新作「シン・ゴジラ」を、元・生物系アカデミック志望者として語ってみたいと思います。
(※そもそも、そのような議論に意味は無いという意見は無しの方向で。僕も特撮好きとしてそれぐらいわかってます。)



まず、そもそも触れておかなければならないのは、物語の序盤で、一度、ゴジラ(となる生物)が上陸しての活動は不可能と結論付けられている事(作中公式発表で「上陸後、自重で潰れる」と流れる)。
ここはかなりリアルです。
両棲生物は別として、基本的に水生生物は地上では生活できません。
基本的に水中では浮力を受けるため、地上に上がった際に生物自身に相当の負荷がかかり(浮力は体積に比例する。つまり、超巨大生物が海中で暮らしていた場合、その体は巨大な浮力で支えられている。)、水生適応の身体構造では(基本的に手足は退化します。また、作中でも第1形態は尻尾が異常に長いおたまじゃくしのような形態である事が設定されています。)自重を支えられない事、また、(深海にいるなら)高水圧下に生息する場合、体が膨張して動けなくなるといった点から、基本的に未知の水生生物が上陸して活動する事など考えられません。
しかし、本作ではその前提を結論付けた直後からあっさりと覆します。
実は個人的にはここがポイント。
絶対にありえないと一度触れたうえで、それを超えてくる。
ここで、新たなゴジラが異常成長・進化し、環境適応できる生物であることが明確に定義できます(急激進化の可能性の有無はここでは論じない)。
そして上陸して出てきた生物は…
おおよそゴジラとは思えない、謎の生物(ゴジラ・第2形態)
デザインとしては前足が異常退化した、イグアナのような感じ…
特撮怪獣で言うならば、「ウルトラマン」に登場する、ゲスラに近いデザイン。
この生物の動きもとてもリアルです。
人間にはその目的が理解できない進路と、とにかく前進のみを目的とした這った動き。
既存の怪獣映画では、怪獣は障害物をものともせずそのまま突っ込むか、光線で破壊しますが、この第2形態のゴジラは基本的には人間が整備した道を、周りのものを破壊しながら進み、目の前にある高層マンションをよじ登って通って行こうとする。
実に生物的な動きなのです。
この辺りも、強く「生物」として意識していることが感じられます。
この第2形態はまだ鰓のような器官がしっかりと残っており、その姿は陸上進出を目指した水生生物そのもの。この鰓のような器官から大量の血をまき散らして闊歩するあたりもかなりの気味の悪さ。
その後、進行するにあたって、鰓のような器官が退化をはじめ、前足が発達をはじめ、2足歩行を可能とした第3形態となります。この姿はとても悍ましい。前述の通りのイグアナ顔なのですが、口は裂けてるわ、目は気持ち悪いわ。そして明らかにアンバランスな造形。恐竜一歩手前のような骨格でありながら、直立二足歩行。
これは、映画的にはとても気味が悪く、作中の雰囲気にはとてもマッチングしているのですが、生物学的にはどうかな…?
後に出現する第4形態時に、このゴジラは摂食に必要な舌を持たず、歯も接触に適さないため、水と空気だけで生命活動が可能であると結論付けられるのですが、その性質が進化の過程で得られたにせよ、元から持っていたにせよ、口は退化します。
生物は使わない器官が、進化の過程で退化・消滅する傾向にあります(ヒトの盲腸などはその一例ですし、深海魚であるヌタウナギの目はほとんど見えていないか、全く見えていない)。
それにも関わらず、(放射熱線を吐く機能があるとはいえ)全く使う必要のない口がさらに開くように進化することは、おおよそ考えられません。
今回のゴジラはありえない「生物」、完全「生物」としての側面が大きい。
そこまで「生物」である事を強調するならば、本来は口は退化していくデザインであるべきなのです。
(この記事では、本作のゴジラを「環境適応能力が異常に高く、進化に必要な遺伝子変異が生じやすい生物」として捉えています。たとえ『ゴジラ』に近づけていく事が目的にしても、口が裂けるほど開けられる描写は必要無かったかと。)
この第3形態のゴジラは登場時間がたいへん短く、自衛隊の攻撃が開始される前に、第2形態に近い姿に一度戻って、海に消えます。
その後、ゴジラは我々がよく知るゴジラに近い形態、第4形態となって再登場。
と言っても、旧作までと違うのが、進化の過程を描く事もそうなのですが、東京駅の側でアメリカ軍の掘削弾によるダメージを負うまで熱線を一切吐かないのです。
僕はこの描写も、「自らを脅かす敵」に対抗する術を、進化の過程で得たと捉えていまして、非常にうまく描けていると思います。
今回のゴジラが、絶望的に描けている要因の一つとして、圧倒的進化、適応をうまく描写できている事があげられると僕は思います。実際、初めてダメージを受けた際、まるで吐血するかのように黒煙を吐き出し、それが火炎放射に、最終的にそれをバーナー化した、超高密度の放射熱線と変わっていき、東京中心3区を滅ぼすシーンは、第2段階の火炎放射の時点で千代田区近辺を焼き尽くし、圧倒的な破壊を見せておいて、最終段階の放射熱線乱射に繋げる事で、本当にどうしようもない絶望感を演出する事に成功していると言えるでしょう。
今回のゴジラの異常に固い外皮、(いくらエネルギーが有り余ってるからと言って、火が吐けるかどうかという事は一度置いておいて)段階を踏む放射熱線の習得、最初は口からしか吐けなかった熱線を、背びれの周りの裂け目から放出する事に関しては、環境適応という観点からは生物学的に十分有りうる話だと思います。
また、熱線の連続使用は自分のエネルギー切れを引き起こすという点も、エネルギー保存則的にも(実際に放射してる熱量がいかほどか、ゴジラがどれほどの熱量持ってるかは知りませんが)理に適ってるかと。
この辺りもリアル。


そして、第4形態休眠時に、様々なゴジラの情報が明らかになります。
単為生殖による無限増殖の可能性や有翼化による飛行能力の獲得の可能性がある事など。
どちらも生物学的に有りうる話だとは思います。
前者はプラナリアのようなものだと考えても良いでしょう。
後者は恐竜が鳥に進化していった事を考えれば不自然はありません(現在、ほぼ確実な学説)。


最終的に今回の映画は、ゴジラの活動エネルギーとなっている原子炉器官の機能停止につながる、異常適応を逆利用した自己凍結で活動停止に追い込むことに成功しますが、日本は危機をひとまず乗り越えただけで、いつXデーが来てもおかしくないという状況であり、人類側の完全勝利とはいきませんでした。
むしろラストシーンで、さらなる適応により、人型をした異形の形質、新たな歯や頭の形成の獲得が描写されており、人類の足掻きにも適応してみせるという人類の全てを圧倒的超えてくるという絶望感を最後まで残しています。
この辺りが本当に、ガメラ3のラスト直前までに近いんですよね。
本当に見ていてドキドキ・ハラハラしました。


さて。
ここまで概ね絶賛してきましたが、リアルを追及する割には生物学的に見ておかしい事をいくつか指摘して終わりたいと思います。
まず一つ目。
作中で、ゴジラのDNA情報はヒトの8倍あり、あらゆる生物種の遺伝情報を複合して持ち合わせていると出ます。この8倍というところで異常進化の説明をなす様な描写がありますが、そんな事は一切ありません。本来、ゲノムデータはほとんど全てと言っていいほどジャンクデータ(最近はジャンクだと思われていた部分に実はncRNAがコードされている事が明らかになるケースも出てきていますが)。いくらゲノムサイズがでかくても、それが優秀な性質・形質を獲得できる保証にはならないのです。実際、ヒトとマウス(Mus musculus)の全ゲノムサイズを比較すると、マウスの方が若干大きいですし、トウモロコシにも負けてます。ゲノムサイズなど何の当てにもならないのです。
ただ、他種生物の遺伝情報を大量に併せ持っているために適応能力が異常に高いという事自体は間違った考え方ではなく、実際に何しても死なない(焼いても、液体窒素処理しても、放射線環境下でも、宇宙空間でも死なない)クマムシは外来生物由来の塩基配列を他の生物種の何倍も持ち合わせています。この事が、クマムシの異常な適応能力に寄与しているという考え方もあるぐらいなのです。

次に二つ目。
第3→4形態の質量増加について。
これは単純です。
質量保存の法則どうした?という事です。
作中でゴジラはあらゆる分子・原子を活動に必要な未知の放射性元素同位体に変換する能力を有する可能性が示唆されていますが、それで賄えるのはあくまでもエネルギーだけです。ゴジラが生命活動にATPを用いているかどうかは定かではありませんが、例えATP合成を無限に出来たとしても、体を成長・拡張させるタンパク源が存在しない限り、そんな事は不可能です。
クマの子供などは成長も早い事で知られますが、やはりそれに見合った量の母乳を飲んでいるものです。
作中で倍は大きくなっているという言及がありますが、その質量を得られるほどのたんぱく質をどこで摂取したんだよという事です。
無から有は生まれません。それこそビッグバン的な事でも起きない限り。
自らたんぱく質を合成できるにしても、その原料となる炭素・水素・酸素・窒素・リンをどこから調達したんですかとなります。アミノ酸を元素から組み立てて合成できるにしても、原料調達の量とかかる時間的に明らかにおかしい。
まあ、実は第4形態時は第3形態に比べて体内がスカスカというなら話も別ですけどね。

最後に三つ目。
まあ、これは生物学ではありませんが、ゴジラの発熱について。
作中では、体内の原子炉器官を血流による熱交換、および背鰭部分からの体温放射による温度調整で活動していると述べられています。
それは構いません。
異常適応により、超々高熱耐性及び、耐放射能たんぱく質を獲得しているという事は、存在自体が可能性を示唆していますし、体表の孔から熱を逃がす機構は植物が須らく持っていますし、ヒトだって汗という形で行っています。
問題はその熱があって、なんで近づけんねんという話。
原子炉を体内に持っており、また、超々高温度の炎を吐けるほどのエネルギーを有しているという事は、放熱する熱量も相当なものとなるはずです(放熱は最小限に抑えて体内に貯めているという考えも出来ます。しかし、「体内の熱交換を不十分にし、原子炉機能を強制停止させる」という作中の狙いが成り立ちません。この仮説を通すならば、ゴジラは定期的に放射熱線を吐くか、定期サイクルで強制休眠状態となるはず。)。なら、終盤の血液凝固剤の経口投与時にそもそも近づく事すらできないはずなのです。
これも変やなと真面目に突っ込んでしまうところ。
あ。
でも、薬品の経口投与というのは、怪獣映画としてはかなり斬新だし、体表を突き破れない、飛行兵器も自動撃墜されるという状況を成り立たせる最適なシナリオ選択だったと思います。



とまあ、3つほど真面目ツッコミしてしまいましたが、作品はとても面白かったです。
そこだけは勘違いなさらないように。
それでは…

(明日めちゃくちゃ早いのに、夜更かしして書いてしまった…)

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時は金なり

今晩は晩飯食いながら借りてきた映画見てました。
「TIME/タイム」というSF映画。
全ての人間が遺伝子操作で25歳で老化がストップする代わりに、同時に寿命は1年となり、以降の寿命は通貨と化した時間をやり取りして寿命を得ていくという映画。時間は給料として支払われ、普段の生活から何から何まで寿命を支払う事でやり取りされる世界。当然寿命=通貨が0になれば即死、貧困の差は激しく、富裕層はそれこそ無限の時を、貧困層は常に残り1日の生活をする世界。
その世界で主人公が長い時間を生きることが苦痛になった富裕層の男を助けたことがきっかけで100年以上の時間をもらい、様々な事に巻き込まれていくというストーリー。
正直説明は苦手なので、ここらへんはググってくれるとありがたいです(笑)

この映画、封切の時から結構気になっていたのですが、ようやく見ることが出来ました。
この映画を一言で表すなら本当に「時は金なり」。
主人公は冒頭で100年の寿命を得、一時は2000年近くも寿命を得るも、国家権力に没収されます。
それからは世界の体勢と戦う主人公。
一日一日を大切に、なおかつ有意義に生きていくという事がどういう事か、リアルに描かれていて、とても面白い映画でした。
資本主義をそのまま皮肉ったような内容でしたが、時は金なりというのか、時間とお金の大切さも認識できるいい映画だと思います。
ただこの映画、確かに面白かったのですが、貼りっぱなしで回収されない伏線とか、義賊となった主人公が最後巨大な銀行に拳銃1丁で強盗に入るという結構謎な最後など、詰めの甘さも目立った映画でしたが、総じて面白かったです。
皆さんも一度ご覧になってはいかがでしょうか?

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